「今日は来てくれて、ありがとう。兄貴からいろいろ聞いて、俺のこと軽蔑しなかった?」
遼さんの優しいけれど、不安そうな声が頭上から落ちてきた。
「そりゃね、いろんなこと考えたよ。少し遼さんのことを疑ったり信用できないでいたのも本当。でもそれよりも、今の遼さんのことが好きで、大好きな気持ちのほうが上回ってしまって……」
抱きしめられている腕の力が少し緩むと、自分から身体を反転させ、正面から遼さんを見つめた。
「枝里に真規子。誠さんと陽子さん夫妻。それに雅哉くん……。みんなが励ましてくれて背中を押してくれた。感謝しても、し尽くせないくらいに」
みんなの顔が脳裏に浮かんで、胸が熱くなる。
ジワっと目に涙が溜まり始めると、遼さんが愛おしむような眼差しで私の頬を覆った。
「そうだな。梓の言うとおりだ。俺が情けないばかりに、梓だけじゃなくみんなに迷惑かけて……。俺、昔と全然変わってないよな」
「そんなことないよっ! 遼さんは変わった。だって、人の心を思いやれるようになったでしょ? そうやって人の心の痛みが分かるようになってるんでしょ?だったらそれは、遼さんがちょんと人として成長してる証拠じゃないっ!!」
遼さんに私の気持ちが伝わるように、一生懸命話した。
遼さんひとりが、苦しまないで欲しい。
これからは、苦しみも悲しみも、そして楽しさだって何だって二人で感じていきたいんだから───



