ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~


心臓がドキンと音を立てる。

「土曜日だからちょっと心配だったけど、チェックインできたよ」

手を引かれエレベーターに乗り込むと、遼さんが最上階のボタンを押した。

最上階っ!?

それって普通に考えたら、スイートルームとかがある偉い人が宿泊する階だと思うんだけど……。
私の想像を尽く覆す遼さんを驚き見ると、「うん?」と憎たらしいほどのしたり顔。

カードキーを差し込むと小気味いい音とともにドアが開き、遼さんに背を押され奥の部屋に入れば、大きな窓から見える夜景に目を奪われてしまった。

「す、ごい……」

その眩いくらいの光に吸い込まれ、ゆっくりと窓に近づく。
すると足元で、まるで車がミニカーのように走っているのが見えた。
途端に自分が今いる部屋の高さに驚き、後ろえと身を引いた。

「っと、危ない」

いつの間にか真後ろに立っていた遼さんにぶつかるとそのまま抱きすくめられ、首筋から柔らかい唇の感触が伝わった。
思わず息を呑み、何も話せなくなってしまう。

「どう、気に入ってくれた? 梓との夜を最高な気分で過ごしたくてね、ちょっと頑張っちゃった」

子供みたいな笑顔で可愛いことを言ってくれるから、胸がキュンっとしてくすぐったい。

「気に入るも何も……。素敵すぎて、言葉にならないよ」

私の身体の前にある手にそっと自分の手を重ねると、抱きしめる遼さんの腕の力が強くなった。