でも、それでも今心の中にある“好き”という気持ちは変えようがないし、誰にも負けない。その気持ちだけで一緒にいたいと思うのは、いけないことなんだろうか。
ここで負けるわけにはいかない。
俯きかけていた顔を上げると、もう一度お兄さんと対峙した。
「まだ何か言いたそうな顔だな。おい遼。この女がバカで良かったな。お前の昔を知っても好きだなんて、相当のイカれ女か小野瀬の金目当てとしか思えん。そんなことにも気づかん遼、お前もお前だけどな」
「ひどい……」
私のことより何より遼さんのことまで悪く言われてしまい、悔しくて悲しくて涙が出そうになってしまう。
足も震えだし立っているのがやっとの状態でいると、たくましい腕が腰にまわりそのまま抱き寄せられた。
「梓、ありがとな。俺なんかのこと、そこまで好きでいてくれて。兄貴がいう通り梓がイカれ女なら、俺もイカれ男だな。似たもの同士ってとこかっ!!」
そう言って私が大好きな笑顔を見せると、おでこにおでこをくっつけた。
「梓、愛してる……」
私にしか聞こえないほど小さな声で囁くと、頬にキスを落とした。
急な顔の近さと甘い囁きに、顔が瞬時に赤くなる。
奥さんは「まぁっ!」と顔を綻ばせ体の前で小さく拍手してみせ、あずみさんは「チッ!」と舌打ちをして本性を現したようだった。
「いいかげんにしろっ!!」
お兄さんの怒鳴り声が、部屋の空気が震動させる。
その声に身体をビクッとさせると、遼さんが「大丈夫」と身体を擦り、ただそれだけで安心できた。



