ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~


誠さんから放たれた言葉は、想像を絶するものがあった。
小野瀬建設を継ぐはずだった遼さんが、お兄さんにその座を奪われ家を出たこと。
それから生活が荒れていって、多くの女性と関係を持ったこと。
これは、お兄さんから聞いた話とリンクしていた。やっぱりと、落胆を隠し切れない。

「あの、それって、何人も妊娠させちゃったって……本当ですか?」

そうあって欲しくないという気持ちで、思い切って聞いてみた。
すると誠さんが、驚いた顔をして身を乗り出した。

「誰がそんなことをっ!  って、暁しかいないか……。遼の名誉にかけても、それは絶対にない。あいつを信じてやって欲しい。とは言え、ふしだらな生活をしていたのは事実だからな。偉そうなことは言えないな」

そう言って肩を落とす。
誠さんの遼さんへの思いが、ひしひしと伝わって胸が痛む。

「変なこと聞いちゃって、すみません。でも、ちょっと胸のつっかえが取れました。大丈夫ですよ。遼さんのこと、ちゃんと信じてますから」

そう。
もうどんなことを聞かされても、遼さんを信じると決めてここに来たんだから……。

「梓ちゃんとここに来た日の前の晩、遼から電話があったんだ」

「遼さんから?」

「ああ。一緒に連れて行きたい女性がいるって。正直、驚いたよ。昔の自分を悔いて、一生結婚しないなんて言ってた遼が、彼女を連れてくるって言うんだからな」

陽子さんとクスクス笑いあう。

「それも、俺たち夫婦みたいに幸せになってもいいかなんて、もう結婚を意識しているその言葉に、二度驚いたよ」

遼さんとここに来たのは、“おためし”の契約を結んだその週末の話。
遼さん、最初から私とのこと本気で考えてくれてたんだと思うと、急激に胸が熱くなってきた。