ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~


「そんなに自分を責めちゃいけないよ。遼がもっとしっかりしないといけなかったんだ」

「そうね……。梓ちゃんが気に病むことはないわよ。だから、顔を上げて。あなたが私達を頼ってここに来てくれたこと、本当に嬉しい。ありがとう。私達夫婦には子供がいないから、遼ちゃんのことを本当の子供のように接してきたの。あの子も昔、小野瀬のしがらみに巻き込まれていろいろ苦労してきた子だから、助けてあげたくてね」

陽子さんがそう言うと、誠さんがそっと陽子さんの手に自分の手を重ねた。

「そこからは俺が言おう。梓さん、あなたにはちょっと苦しくなるような話になるけれど、聞いてくれるか?」

きっと、遼さんのお兄さんが話したことに沿った話しなんだろう。
ちょっと苦しくなると言うことは、お兄さんが言っていたことは、あながち全部が嘘ではないということだ。
正直、その話を聞くのは怖い。普通に付き合っていれば、お互い秘密の一つや二つ持っていたっておかしくないんだから。
それを全部知ってしまうと言うことは、それなりの覚悟がいる。
でも今の私は、その話を聞く必要があった。
そうじゃないと前に進めないんだから……。

───自信を持って、遼さんと向き合うために───

そしてもう一度、私の本当の気持ちを伝えたい。

その思いがハッキリ自分自身の中に納まると、誠さんの話を聞く体制が整った。

「はい、お願いします」

私の態度を見て何かを感じたのか、誠さんが笑顔で何度か頷くと、徐ろに話しだした。