「すげぇ噂になってんじゃん」
さっきまでの胸の高鳴りとは違うズキズキと軋むような痛みが襲ってくる。
ここからだとソファの背凭れが邪魔で横たわってる会長の顔が見えない。
「さっき廊下で見てた。…それでここに来たんだろ?」
見られてたなんて気付かなかった。
ってことは、きっと飛躍した噂ももう知ってるんだよね…
ねぇ、会長…
今、どんな顔してるの…?
私のこと、噂通りの女だと思ってる?
「…そっか。見てたんだ…」
やば…また涙が出てきちゃいそう…
私は再び窓の外へ目をやった。
「私、特定の男作らないんだって…やることやってるいやらしい女なんだって…」
涙が零れないように窓から曇り空を見上げる。
まだ雨が降りそうなほどではないけど、この雲を見ているともっと気持ちが沈んでしまう。
「…付き合ったこともないのに、いやらしい女って…笑っちゃうよね…」
私は薄笑いを浮かべた。
今朝まで良い顔を向けてたくせに、ころっと態度を変えて軽蔑した視線を浴びせてくる女子達。
それでも放課後には何もなかったかのように集まって媚を売ってくるんだ。
この学園の殆どの生徒がそういう人。
全て自分の欲のため。

