君のいる世界





「…さぼりか?」



勢い良く声がした方に振り向くと、会長が扉に凭れ掛かり腕を組んで立っていた。


ドクンっと心臓が波打ち始める。


私は唾を飲んで、新しい空気を吸った。



「か…会長こそ…何でここに…?」



声が震えてる…


気持ちを自覚してから初めて会って緊張がピークに達していた。


それに、あの噂話を知られてしまったかどうか不安で仕方がなかった。




「俺は寝に来ただけ」



あくびをしながらソファに移動し、上履きを脱ぐ会長を目で追った。




「…お前も寝るか?」



「え??」



「ずっと見てるし、一緒に寝たいんだろ?」



「ち、違っ!!」



会長はふっと口の端を上げて笑った。


胸の鼓動が加速する。


カァッと顔が熱くなって、そんな顔を見られないように視線を逸らした。




「早く来いよ。気持ちいいぜ。このソファ、ふかふかだし」



そう言って会長は両手を枕にして仰向けで横になった。


い、意地悪な会長に戻ってる…



昨日の優しい会長は幻!?




だけど、以前みたいに冷たくあしらわれなくなっただけでも嬉しいよ…