君のいる世界





「っか、会長…?」



私の背中に伝わる会長の胸の鼓動。


力強くて、速くて…




会長もドキドキしてるの…?




それがとても嬉しかった。




「…また遊びに来いよ」



「…っ」



会長の低くて掠れた声が耳に残る。


甘い吐息が耳元を熱くさせた。


その熱は徐々に身体中に広がり、痺れて何も考えられなくなる…




会長は更にギュッと私を抱き締めて、私のうなじに顔を埋めた。


生温かくて柔らかいものがうなじを這い、何度もリップ音を鳴らす。




「…んっ…っあ…」



チクンッと電流が走り、思わず首を竦めた。




会長は腕を解き、肩を掴んで私を向き合わせる。




絡み合う視線。


重なる胸の鼓動。




会長はゆっくりと顔を寄せ、私は自然と瞼を降ろした。






ーーープップーッ!!


クラクションが住宅街に鳴り響き、我に返った私は咄嗟に会長から離れた。



クラクションを鳴らした車は、私達をライトで照らしながら横を通り過ぎて行く。