我を忘れ、捲し立てるように声を張り上げると、生徒会室は一気に静寂に包まれた。
私の乱れた息遣いだけが、生徒会室に響く。
中澤さんは何も言わず、眉間に深い皺を寄せて私を睨み付けてきて。
その後、火花が散るような睨み合いが、他の委員が入ってくるまでの数分の間続いたのは言うまでもない。
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「…はぁ」
帰りの車の中で、今日一番の盛大な溜息を吐く。
「今日は一段と疲れていらっしゃいますね。どうかされましたか?」
専属運転手の康君がバックミラー越しに私を見ながら声を掛けて来る。
柳田 康介、27歳。
柳田一家は代々うちの秘書兼執事として仕えてくれている。
小さい頃からよくうちに遊びに来ていた康君と私は本当の兄弟のように仲が良かった。
「康君、やめてよ…そんな敬語使うの」
「それは出来ません。お嬢様こそ、私のことをそのように呼ぶのはお控え下さい」

