君のいる世界





すると、谷本麗奈はすっと立ち上がった。
なんだよ、行っちまうのか…



そう思った時にはもう、反射的にその手首を掴み、彼女を引き寄せていた。


シャンプーだろうか、ふわっと甘いフルーツの香りが鼻を掠め、俺の理性を刺激する。




「何?寝込み襲いにでも来たの?」



「…っな!!違…っ!」



みるみるうちに紅く染まる真っ白い頬。


俺の腕から逃げようと必死にもがく華奢な身体。




それが可愛くてもっと虐めたくなる。


俺は逃がさないように腕に力を入れた。




「ここだったら誰も来ねぇし、気持ち良いことしよっか?」


「…っ!!」




耳元でわざと吐息がかかるように囁いた。


彼女の柔らかい髪がくすぐったい。




「そんな真っ赤な顔して…お前も満更でもないんだろ?」



さっきよりも赤く火照った頬と揺れ動く潤んだ瞳、艶めいた唇。


キスしたい衝動に駆られながらも必死に堪える。