谷本麗奈に近付けないまま二学年に進級した。
俺は学年一位の成績だった為、今年度は生徒会長を務めなければいけない。
面倒だけど仕方が無い。
特待生でいる為には勉強に手を抜けないから。
生徒会の初顔合わせのため生徒会室に向かうと、扉を開けたまま呆然と突っ立ってる谷本麗奈を見付けた。
「…っ!なんで、あいつが…?」
あいつの姿を見た瞬間、心臓が激しく揺れ動き手に汗が滲み出す。
動揺した自分を落ち着かせるように深呼吸して声を掛けた。
「…おい、邪魔だ。どけ」
「あっ…ごめんなさい…」
振り返った谷本麗奈を見て、俺は言葉を失った。
こんなに至近距離でこいつを見たのは初めてだった。
スッピンにもかかわらず綺麗にカールされた長い睫毛。
くっきり二重の焦げ茶色の大きな瞳。
ほんのりピンク色に染まったきめ細かい頬。
艶のいい唇。
俺は赤くなった顔を見られないように彼女の横をすり抜け生徒会長の席に腰を下ろした。
収まっていた心臓がさっきよりも激しく音を立てる。
やばい…
本気で可愛いって思った…

