二人は本当に純粋無垢で、花のような笑顔が眩しい。
当時の事は殆ど覚えてないけど、あれぐらいの子は何事にも一生懸命で大人のように嘘をついたり計算したりしない。
だからおばさんから聞いた幼い大輝のプロポーズは何の偽りもない気持ち。
「大輝が4歳の頃にくれた蒲公英の婚約指輪は、私達の未来を予知してたんだなって思ったの。いくつものハードルを超えるとその先に幸せが待ってるって。花言葉の通り、数年後に来る幸福を知らせてくれてたでしょ?」
「そうだな」
大輝はふっと口元に笑みを浮かべた。
いつまで経っても、私の胸は大輝の色んな表情に弱い。
今だって、見慣れた笑顔なのにこんなにも煩くなってる。
きっと私はこれから先もずっと大輝にときめいてると思う。
「左手、貸して?」
私は大輝が差し出した左手を持ち、その薬指に“私の気持ち”を嵌める。
「…これ」
「さっきお花屋で貰ったプリムラで作った指輪」
咲き終わって摘んだプリムラの花びらはまだ枯れた様子もないぐらい綺麗な色をしている。

