その情景を思うと、切なくて胸がギュッと締め付けられる。
ゆっくりと夕日に吸い込まれるように小さくなっていく綿毛達に、私は一体何を思うかな。
頭の中で思い浮かべる私の顔は影になってよくわからない。
ただただ別れを予知する真っ白な綿毛の行く末を、姿が見えなくなるまでぼーっと眺めているだけ。
大輝と出会う前の私だったら、頭の中に思い浮かべた情景のように、何も出来ずに眺めているだけだったかもしれない。
だけど大輝と出逢った今の私だったら、その綿毛に見失わないように、残りの一本になっても追いかけ続ける。
その綿毛の行き着く先には、明るい明日が待っているから。
例え想いが通じ合わなくても、眺めているだけで後悔するよりかはいい。
「なんで沢山ある中でその言葉が一番なんだ?真心の愛とか結構いいと思うけど」
「蒲公英の花言葉を初めて知った時は私もそれが一番心に残ったんだけどね」
幼馴染だろうか、幼稚園ぐらいの男の子と女の子がキャッキャッ笑いながら砂場で山を作っている。
その二人を、写真の中の幼い私と大輝に重ねて見つめる。

