「もし宜しければ、その摘んだプリムラを頂けますか?」
「もちろん。処分するなら貰って頂いた方が花も喜ぶわ」
おばあさんは嬉しそうに言って、摘んだ数本の淡いピンクや赤色のプリムラを渡してくれた。
「おばあさん!ありがとう。また来ますね!」
私はおばあさんにお礼を言って、ガードレールに寄り掛かっていた大樹に駆け寄った。
「お待たせ!ごめんね」
「いや、いいよ。それより、その花は?」
「ふふ。今はまだ内緒。ねぇ、どこかゆっくり座れる場所行かない?」
私達は大樹の家からそう遠くない、住宅地の中にある公園のベンチに腰を下ろした。
その公園は、フットサルの試合が出来るぐらいの広場と複数の遊具が置いてある広場に分かれていて、地元の小学生が学年関係なく鬼ごっこをしている。
「っくしゅ!」
「大丈夫か?」
「ん。平気」
すると大輝は離れていた数センチを埋めるように、やや腰を上げて寄り添ってきた。

