会長が怒るのも無理はない。
自分がいない間に嫌いな奴が家に上がり込んでたら、私でも嫌だし。
すると会長の後ろから急に顔を覗かせたおばさんは、
「そうよ。麗奈ちゃんにお兄ちゃんからもお礼言ってね。それと、ご飯の支度出来たから降りて来て」
と告げて、再び階段を降りて行った。
「お兄ちゃん、おかえりぃ!」
「早く下行こー!」
「まっ、待てって…兄ちゃんまだ着替えてないから」
会長は弟達に抱き着かれ、険しい表情から一瞬で優しい穏やかな表情になった。
愛おしそうに兄弟を見つめる会長。
学園では見せないそんな姿に、不覚にもドキッとしてしまった。
そして、時刻は20時。
夕飯をご馳走になり、私はおばさんと台所で他愛ない話をしながら洗い物を手伝っていた。
「悪いわね。手伝ってもらっちゃって」
「私こそ夕飯までご馳走になってしまって。ありがとうございました」
「ふふ。またいつでも来てね。大歓迎よ!…っと、もうこんな時間!親御さんが心配してるだろうから帰った方がいいわ。ちょっと待ってね」
おばさんは階段下から二階に向かって「お兄ちゃーん!!」と叫ぶように言った。

