「あのテーブルの上にある花はプリムラ・ジュリアンですか?」
「ええ、その通り。これから手入れをしようとしていた所なんですよ」
おばあさんの視線の先には、アンティークなテーブルの上に色とりどりのプリムラが置かれていた。
プリムラ(Primula) とは「最初」という意味があり、この花がどの花よりも先に咲くことから名づけられた。
サクラソウ科サクラソウ属の一年草で、草丈10~40cm、花径1.5~8cm と小さく、花の少ない冬に可愛らしい花を咲かせることからとても人気がある花のひとつ。
「素敵ですね」
「ふふ。そうでしょ?」
おばあさんは園芸用のハサミを手に取ると、プリムラの花ガラを摘み始めた。
「その摘んだ花はどうなさるんですか?」
「勿体無いけど、処分するわ。プリムラは次々とツボミが出てきて、絶え間なく花が咲くの。だから咲き終わった花を小まめに摘んでやらないと花つきが悪くなるのよ」
慣れた手付きで根から切り取り、枯れ葉を取り除いていく。

