君のいる世界





「そ、それにしても、私達会ったことあったなんてびっくりだよね」



胸の高鳴りが大輝にバレないように顔を逸らした。


大輝は私がドキドキしていることなど全く気付いていないようで「そうだな」と相槌をうつ。




「でも、親父達が親友なら不思議じゃないけどな」



「ふふふ」



「…何笑ってんの?」



「笑ったというか、可愛いなって思って。蒲公英の婚約指輪だなんて、大輝は幼い頃からロマンチストだったんだね」



さっき見せてもらった写真を思い出す。


まだ孫の手のように小さい私の手にパァッと咲いた一輪の蒲公英。


おばさんが教えてくれた4歳の大輝からのプロポーズ。




“ぼくとけっこんしてくれる?”




当時の私は何て答えたんだろう。


いくら思い出そうとしても、残念なことに全く思い出せない。


もしかしたら、おばさんは覚えているかもしれないけど…




でも、聞かなくてもわかる。


4歳の私もきっと大輝に恋してた。