「麗奈さん、すみません。弟と妹が…」
「ううん。楽しい!私ひとりっ子だから。いいね、兄弟って」
「でも、毎日うるさいですよ。一人になりたい時もなれないし」
琴音ちゃんはそうぼやきながらも表情は穏やかで、自然と笑みが漏れる。
「そうだね。でも琴音ちゃん、二人と遊んでる時、凄く良い…「「お前…何してんだ?」」
私の言葉を遮るように低く驚いた声が聞こえ、私は身を強張らせた。
聞き覚えのある…あり過ぎる声に恐る恐る振り返ると、会長がドアノブを掴んだまま目を見開いて立っていた。
「か、会長…?…え?なんでここに?」
「それは俺が聞いてる。どうしてお前がうちにいんだよ…?」
みるみるうちに会長の眉間の皺が深くなる。
ここは琴音ちゃんの家で、会長が帰って来て…
「お兄ちゃん!そんな言い方失礼だよ!麗奈さんは私を助けてくれた恩人なの」
お、お兄ちゃん!?
そういえば、表札に中澤って書いてあった気がする。
それに琴音ちゃんもどことなく目元が似てるような…
「は?恩人?」
会長は意味がわからないと言わんばかりに顔を顰めた。

