「何処で間違えたのか…ただ毎日が必死で…気が付いたら周りには誰もいなくなってました…後悔先に立たずとはまさにこの事」
お祖母様が厳しくなったのは、お祖父様が愛した会社を守るため。
最近になってやっと女性も男性と同じ立場で働く社会になってきたけど、昔はそういう時代ではなかった。
そんな差別が激しい時代の中、お祖母様は酷い事を言われながらもぐっと堪えて会社を守ってきたんだ。
いちいち傷付いていたら自分自身が壊れてしまう。
経営が厳しくなったら、長年付き合ってきた業者でも見直しをして時には切り捨てたり、人件費削減のためにリストラを行ったりしなげればいけない。
そんな苦しい選択を、祖母は一人で決断して来た。
「朱美さんや麗奈には、私と同じ思いをしてほしくなかったんです。私達がいるこの世界には、無慈悲な人が少なからずいます。谷本財閥の社長婦人ともなると、その人達との付き合いも避けて通れない。そうなると朱美さんが一般家庭出身だという事に対して嘲弄する人が必ず出てきます。だからこそ、強くなってほしくて、厳しくしてきました。でもそれが反対に朱美さんを傷付け、追い込んでしまった…」

