祖母は幸せそうに目を細めて、それをずっと見つめていた。
『うわぁ!その指輪、きれい!!キラキラだぁ!』
『これはね、おじいちゃんから結婚記念日に戴いたんだよ』
『けっこんきねんび?』
『そう。おじいちゃんとおばあちゃんが幸せになろうって誓った日。麗奈にも大きくなったらおじいちゃんみたいに素敵な人がきっと現れる。そしたらおばあちゃんに一番に紹介してくれる?』
『うん!やくそく、だよ!』
指輪は今、祖母の指に嵌められていない。
でもあの約束はまだ有効…?
私は大輝の隣りに並んで正座し、祖母を見つめる。
そして一度深呼吸してから口を開いた。
「お祖母様。かつて交わした約束を覚えていますか?」
「…約束?」
「はい。私の大事な人を一番に紹介するという遠い昔に交わした約束です」
祖母は片眉をピクリと上げて、微かだけどハッと息を呑んだ。

