君のいる世界





「とりあえず帰ろ?送ってく」



帰り道、始終俯いたまま歩く女の子。


その横顔は辛そうで、何て声を掛けたらいいかわからず少し離れて歩いた。




私がした事はただのお節介だったのかな…


私が止めたばかりに、彼女は働くあてを失ってしまった。


自分の身体を売るなんて絶対にあってはならないことだし、娘がそんなことしてまで家計のために稼いでも母親は悲しむと思うけど…


まだ私達の年頃は不安定で、思い立ったら一方通行で、世間が狭い。


だから本当に深く悩んだら、周りが見えなくなっていつしか闇に追い込まれて…


もしそこから抜け出す事が出来なければ、最悪な終わりが待っている事だってある。




見て見ぬ振りなんて出来ないって言ったけど、それは結局私の勝手な思いで、彼女にとったら迷惑な話なのかもしれない。


…それでもやっぱり私には、見て見ぬ振りなんて出来なかった。




本当にこれで良かったのかな…


いくら考えても答えなんて出なかった。