君のいる世界





「おい。いつまで見惚れてんだよ」



「み、見惚れてなんかないよ。大輝こそ、ヤキモチ妬いてるの?」



「悪いかよ」



「え…?」



ヤキモチなんて妬いてねぇし、って反論してくると思ってたのに…


大輝は瞬きもせずに、真剣な目で私を見つめてくる。


予想外の反応に、胸がドキッと跳ね上がった。




「さっき言ったろ?俺はそんな出来た男じゃないって」



そう言うと、大輝は私の腕を引っ張って力強く抱き締めた。




「…ずっと、こうしたかった」



「…っ!!」



大輝の喉の奥から絞り出したような切ない声が鼓膜を震わせる。




「俺…麗奈がいないと駄目だわ…生きた心地がしない」



「大輝…」



「もう何処にも行くな。ずっと俺の側にいろ」



大輝の言葉に、鼻の奥がツンとして徐々に視界が滲んでくる。


私は大輝の胸に顔を埋め、何度も頷いた。




「ゔ…うん…もう何処にも…行かない……っ…ずっと、側に…いるっ…」



止まることを知らない涙が大輝の制服を濡らしていった。