「お母さんとお兄ちゃんに少しでも楽させてあげたかったの。せめて自分の学費ぐらい稼ぎたかった。だからあれしか方法がなかったの」
「そんな事情があったの…ごめんなさい。私、何も知らないくせに怒鳴って…でもね、自分のこともっと大切にしなきゃ駄目だよ…そんなことしたら絶対に後悔する。それに、お母さんもお兄さんも悲しむよ?」
「わかってるよ!じゃあどうしたらいいの!?私の学費のせいで二人の負担が増えたんだよ…?…私なんかいない方が良かったんだ…そしたら二人は…」
「うわーっ」と小さい子供のように声を上げて泣く彼女の背中は細くて小さくて弱々しい。
「そんなこと言っちゃ駄目だよ…あなたがいない方がいいだなんて誰も思ってないよ?」
女の子の頬を伝う涙はとても綺麗で、夕日でキラキラ輝いている。
家族を助けたくて、力になりたくて一生懸命考えた女の子。
親の敷いたレールを歩くだけの私よりも数倍大人に見えた。

