君のいる世界





「関係ないけど…でも、ホテルに連れ込まれそうになってるのに見て見ぬ振りなんて出来ない!」



「連れ込まれそうになんてなってない!」



「私の目からは少なくともあなたは無理してるように見えたわ!同意していたわけじゃないでしょ?」



今にも泣きそうなぐらい目に涙を溜めている彼女を見て、何か理由があるんだと感じた。


私はヒートアップした自分を落ち着かせるように深呼吸をした。




「何かあったの?私で良ければ話聞くよ?」



「…お金が欲しかったの」



「お金?」



女の子は鼻を啜り、声を震わせながらポツリポツリと話し始めた。



「うちは父親がいないの。だから生活が厳しくて…お母さんは毎日パート。お兄ちゃんは頭良いから高校は学費全額免除貰って、夕方はバイトしてる。長女の私は馬鹿だからお兄ちゃんみたいに学費免除貰えなかった。バイトだって高1じゃたかがしれてるし。下にはまだ二人小さい兄弟がいて…」