私は動揺を隠すように一度息を吐いてから口を開いた。
「大輝とは別れたの」
「え!?別れた??」
佳菜子は目を丸くして、信じられないと言わんばかりに見つめてくる。
私はいつもよりも軽い感じになるように、口調を変えて言葉を続けた。
「全部遊びだったのにさ、親が会いたがってるから家に来いだなんて、ホント重過ぎだし。恋愛ごっこに本気になって馬鹿みたい。谷本財閥社長令嬢の私が、貧乏人を相手にするわけないじゃない」
私は鼻で笑いながら、酷い単語を沢山並べた。
自分でも驚くぐらいスラスラと口から出てくる。
全部…本心とは真逆の事を言ってるだけ。
「…じゃあ私のことも遊びだったの?」
感情が読み取れないぐらい、抑揚も温かみもない佳菜子の声。
鈍器で殴られたように心臓が揺れて苦しい…
「私には…友達なんて必要ないから」

