君のいる世界





昼休み。


私は大輝と別れた事を伝える為に、佳菜子を誘って屋上に来ていた。




一月中旬の寒空の下、少しの間を開けて二人並んでフェンスに寄り掛かる。


コートとマフラーをしっかりと巻いても、スカートの裾から入り込む冷風が身体を徐々に冷やしていく。




屋上に来てから数分。


なかなか話を切り出せなくて口からは溜息しか出てこない。


重い空気が二人の間を漂い始めた、その時。





「…中澤さんと何かあった?」



佳菜子が重い空気を断ち切るように、助け舟を出してくれた。


その優しい柔らかな声に、胸がズキっと痛む。


私はこれから大事な親友に最悪な嘘を付こうとしてる。


軽蔑されればいいと自分で決めた道なのに、いざその時が迫っていると思うと怖くて震えてくる。