どれだけ走ったかわからない。
私達はホテル街を抜けた後も只管走り、住宅街にある小さな公園で足を止めた。
「ハァハァ…っここまで、来れば…ハァ、もう大丈夫!」
私は膝に手を付いて乱れた息を整えた。
女の子は俯いたまま肩で息をしている。
「あなた、大丈夫?」
「……でよ」
「え?」
女の子は勢いよく顔を上げ、キリッとした切れ長の目で私を睨み付けた。
「…っ余計なことしないでよ!!」
甲高い声が閑静な住宅街に響く。
私達の間には沈黙が漂い、カラスの鳴き声だけがやけに耳についた。
「…ごめんなさい。でも、放っておけなくて。あなた、嫌がってるように見えたから」
「…何なのよ。あなたに関係ないでしょ!?」
彼女は激しい剣幕で、更に怒声を張り上げた。

