君のいる世界





すーっと息を大きく吸うと、



「誰か助けてっ!!!」



私は思いっきり叫んだ。






「…こ、こいつ!!」



夕方で、しかも大通りからすぐ入った所にいた為すぐに人が集まってくる。


あっという間に数十人が足を止め、私達に好奇の眼差しを向けた。




「お嬢様!!大丈夫ですか!?」



康君が人の群れを掻き分けてくるのが見えた。


男達は康君や人の群れに気を取られて隙が出来ている。




今だ!!




私は男達の間をすり抜けて女の子の手首を掴んだ。




「走って!!」



「えっ!?」




驚いてる女の子を引っ張って、人集りとは逆方向、つまりホテル街の奥へ走り出した。






「おい!離せよ」



「そうはいきません。お嬢様にーーーー…」



後ろから男達が康君に捕まって騒いでる声が聞こえてくる。


康君に心の中で謝りながらも、私はひたすら走った。