地元に着き、閑静な住宅街を寄り添うように歩く。
しっかりと手を繋ぎながら、麗奈の左手の薬指には指輪が輝いている。
「そういえば、母さんが麗奈に会いたがってたぞ?」
「え?私に?」
「春音と大和も喜ぶと思うし、今度遊びに来いよ」
「あー……うん。そうだね…」
麗奈は歯切れの悪い返事をした。
俺の予想では、パァッと明るい笑顔で「行く!」って言うと思ってたのに。
「…そういえば、昨日の夜から琴音の様子がおかしいんだけど、バイト先で何かあった?」
「……ごめん、よくわからないや。昨日は普通だったと思うけど…」
まただ。
しかも、目が泳いでるし。
明らかに麗奈の様子がおかしい…
ふと、今朝も違和感を感じたのを思い出した。
「なあ、何か……「「お嬢様。お帰りなさいませ」」
俺が麗奈に問い掛けようとすると、男の声に遮られた。
どうやらいつの間にか麗奈の家の目の前に着いていたらしい。

