「ありがとな」
ぽんぽんと頭を撫でてやると、麗奈は俺の胸に頬をピタッとくっつけるようにして背中に腕を回してきた。
「はは。積極的だな」
そんな風にからかってみたものの、内心嬉しくて仕方が無い。
心臓はドキドキ波打ってるし…
「まだ気持ち悪いだろ?飲み物買ってくるわ」
俺は心臓の高鳴りがバレないように、麗奈から離れて立ち上がった。
落ち着け、俺。
大事にするって決めたろ!?
こんな所で変な妄想してんじゃねぇよ。
麗奈に「ここから動くなよ」と念を押して、俺は自販機を探しに行った。
ガシャン!
自販機から出てきた缶ジュースを持って、来た道を戻る。
ふと、俺の近くで幸せそうな親子の姿に目が止まった。
「パパ〜!肩車してー!」
「よし。ほら、気を付けて乗るんだぞ。しっかり掴まれよ」
そう言って、その父親は子供を軽々と持ち上げる。

