「怖くなんかないって!ただ少し、緊張するだけ。あっ、ほら!私達の番だよ?」
麗奈はそう言って、そそくさとコースターに乗り込んだ。
ビーッ!!
耳障りな機会音と共にコースターはゆっくりと発車し、すぐに角度を変えて山を登り始める。
カタカタカタと音を鳴らしながら真っ暗な山を登り、頂点にある小さな光がどんどん大きくなっていく。
隣りに座る麗奈の顔は暗くてよく見えない。
やがて視界一面に真っ白な眩い光が広がった瞬間、コースターは物凄い速さで滝のように急降下を始めた。
「ほら、ここ座れ」
ジェットコースターを降りた俺は、気持ち悪くてヨロヨロになった麗奈を支えながら近くのベンチに腰を下ろした。
「ったく、だから言ったろ?怖いならやめてもいいって。お前、本当は苦手なんだろ?」
「…ごめんなさい」
麗奈は叱られた子犬みたいにショボンと肩を落とした。

