君のいる世界





その瞬間、心臓に重りが落ちてきたようにドクンッと苦しくなった。




なんだ…これ。


別に悲しいわけでも、辛いわけでもないのに。


ただ、俯いた麗奈が泣いてるように見えて…




するとパッと顔を上げた麗奈は、繋いでる手を指を絡ませるように握り直した。




「こっちの方がいい…」



そう言った姿はさっきと何ら変わった様子もなく、いつもの可愛らしくてちょっと照れも入った笑顔のまま。


俺が感じた泣きそうな雰囲気なんて微塵もない。




…気のせいか?


だけど…



「大輝、行こ!早く行って乗り物いっぱい乗ろ!」



俺は胸の奥に何か違和感を感じた。






でもそれが何なのか確認することも出来ず…


いつの間にか違和感を感じていたことすらも忘れてしまっていた。