耳に当てた携帯からは聞きなれない音声案内。
麗奈が電源を切ってるなんて珍しいな…
それとも何処か行ってんのか?
まあ、聞くのは明日でも遅くないしな。
俺は少し不思議に思ったものの、深く考えずに携帯を机に置いた。
琴音と同じように、麗奈が無数の涙で枕を濡らしてることも知らずに。
俺は呑気に、明日のクリスマスデートの妄想で頭がいっぱいだった。
この時、少しでも二人の異変に気付いていたらあんな辛い結末にはならなかったのかもしれないのに…
翌朝。
俺は待ち合わせ時間ギリギリに駅に着き辺りを見渡すと、何だかよくわからないモニュメントの前で麗奈の姿を見付けた。
襟元にファーが付いたキャメル色のコートを羽織って、コートの裾から黒いミニスカートが少し見えている。
髪は綺麗に巻いて、化粧はいつもより丁寧に施してあり高校生とは思えないほど清楚で大人っぽい。
一目見て、綺麗だと…目を奪われた。
心臓が煩い。
ってか、そんな短いの履いたら他の男が見んだろ…
ちょっとは自覚しろよな。
俺は平然を装って、麗奈にゆっくりと近付いた。

