君のいる世界





「お祖母様こそ、ここに何しにいらっしゃったのですか?」



私はその威圧感に屈する事なく、毅然とした態度で受け答えをする。


私の横でおじさんが「え!?お祖母様!?」と驚いて声を上げていた。





「何?何の騒ぎなの?」




厨房からバタバタと慌てて出てきたお母さんと琴音ちゃんは、祖母や護衛達を見た途端肩を震わせて固まった。




「とりあえず、そこの男性を連れて行きなさい」



「はっ!」



祖母が冷酷な声でそう言うと、秘書が外の護衛に目配せする。


すると外にいた護衛が二人で店に入って来て常連のおじさんの両脇に回り担ぎ上げた。



「うわ!な、何だよ!!離してくれ!」



「お祖母様!おじさんをどうするおつもりですか!?彼はただのお客様です!!すぐに離して下さい!!」



「そんなに怒鳴らないで!耳がおかしくなるわ。彼は話をするのに邪魔なので、ここから出て行って頂くだけです。何もしたりしませんよ。まあ、それもあなたの態度次第ですが」



人間の温かみの欠片もない祖母の笑顔に背筋がゾクッと震えた。