「ああ!大通りにベンツ停めてさ、何人もの黒いスーツを着た強そうな男を従えて、今こっちに向かって歩いて来てる!!」
常連のおじさんは「あんな光景、初めて見たな〜」と腕を組んでガハハッと笑った。
ウィーン…
「麗奈。こんな所で何をしているんですか?」
常連のおじさんと話していると、突然自動扉が開きグレーの毛皮を羽織った祖母が店に入ってきた。
その後ろには祖母の秘書、店の外には沢山の黒いスーツを着た強面でガタイの良い護衛が十人ほど立っている。
「麗奈ちゃん!この人達だよ、さっき言ってたの…」
おじさんは内緒話をするように私にしか聞こえないぐらい小さい声で言った。
その声は心なしか震えている。
きっと目の前の人達の威圧感に恐怖心を抱いているんだと思う。

