「そんな真っ赤な顔して、また襲われたいの?」
「っ!違っ!!」
だけど、私はそんな意地悪な大輝に溺れてる。
もう、彼なしの世界なんて考えられない。
「…大輝?と、麗奈ちゃん…?」
私達がじゃれ合っていると、聞き覚えのある声が石段の下の方から聞こえた。
一斉に振り返ると、目の前に繰り広げられた光景に、私と大輝は一瞬で凍りつく。
どうして…
何でこの二人がここに一緒にいるの…?
暫しの沈黙を破ったのは、二人を睨み付ける大輝だった。
喉の奥から絞り出したような低い声に、恐怖さえ感じる。
「どうしてここに…よりにもよってこの男と一緒にいんだよ……母さん」
そう…私と大輝の目の前には一緒にいるには不自然過ぎる、目を疑いたくなるような組み合わせ。
私の父親と大輝のお母さんの姿があった。

