私が名前を呼ぶと、会長は唇が触れる1センチの所でピタッと止まった。
そして拳一つ分まで顔を引くと、口の端を上げて妖しく笑った。
「…だ、大輝の告……を…思い……た…」
恥ずかしさのあまり、上手く言葉にならない。
きっと今、私の顔は耳まで真っ赤になってると思う…
「…何だよ?もう一回、言ってみ?」
そう言った会長の表情と声はとても優しく、とろけそうなほど甘い。
そして顎に添えた手の親指で私の下唇をなぞった。
会長の親指が触れた唇は、ビリビリと痺れ微かに震えている。
もう一回言えだなんていつもの私なら恥ずかしくて拒むのに、今の私は会長の術に操られているかのようにゆっくりと震える唇を動かし言葉を紡いでいく。
「大輝の告白を…思い出してたの…」

