君のいる世界





『ねえ、覚えてないの?僕のこと』



男の子は私の腕を掴んで揺らしてくる。


その揺れに同調するように耳触りな音も大きくなっていく。




『ちょっ…ごめんね…揺らさないで……』



私は腕を掴む男の子の手を外し、頭を抱えた。


貧血を起した時のように、頭が朦朧としていく。





『俺だよ、麗奈』



え…今の声って…



『麗奈?おい、麗……』




ーーーーーーーーーー・・・・




「ーーー奈…、麗奈!?」



会長の声と同時に身体が揺さぶられてるのを感じ、私は瞼を上げた。


視界に入って来たのは、大好きな会長と見慣れた生徒会室の天井とシャンデリア。



会長は私の腕を掴み心配そうな表情を浮かべている。


そうか、会長が起こそうとして腕を揺らしながら名前を呼んでくれていたんだ…




「大丈夫か?少し苦しそうな顔してたぞ?」



「あ…うん。大丈夫。ちょっと夢見てただけだから」



私は座ったまま背凭れに寄りかかって眠っていたようで、怠い身体をゆっくりと上げて座り直した。