「お母様の事も本当に良かったね。今度一緒にその弁当屋に行こうよ!私もお母様のお弁当食べてみたい」
「うん!お母さんも絶対喜ぶよ」
昨日のお昼、お母さんのことを秘密にしたままトミさんを弁当屋に連れて行った。
トミさんはお母さんの姿を見た途端にスウッと静かに涙を流し、お母さんもまた目を潤ませて震えるトミさんの身体を抱き締めた。
その場にいたお客さんと従業員は一瞬何が起きてるのかわからず唖然としていたけど、琴音ちゃんが先導を切って拍手をすると一気に歓声が上がった。
その後、お母さんの昼休憩まで待って三人で昼食を食べた。
お母さんに初めて親友が出来た、と佳菜子の事を話すと嬉しそうな笑みを浮かべながら聞いてくれた。
懐かしいお母さんの笑顔と温もり。
ずっと、ずっと焦がれていた母の愛。
もう離れ離れになんてなりたくない。
お金がなくたっていい。
苦労したっていい。
不自由でもいい。
お母さんがいてくれたら、隙間風が入ってくる古いアパートでもいいんだ。

