康君はどこまで優しいんだろう。
私の為に数年間も休日を割いてお母さんを探してくれて。
お母さんの想いも大事にしてくれて。
康君は何も悪くないのに、こうして心を痛めて…
「康君、ありがとう」
「でも結局、俺がおばさんに会わせたわけじゃない。会わせたのはあいつだろ？」
「確かに最終的には会長が連れて行ってくれたけど。康君がお母さんにお見合いのことを言ってくれなかったらお母さんはあの日ホテルには来なかった。会長が私とお母さんが親子だって気付けたのは、康君のお陰なんだよ」
だから康君は心を痛めないで。
本当に、本当に感謝してる。
間も無くして車は家の門を潜り玄関の前で静かに停車した。
すぐに中からトミさんが出て来て私を抱き締めてくれる。
「トミさん、心配掛けてごめんね」
「ふふ。もう慣れたわ」
「今日のこと、後で話聞いてくれる？」
トミさんは「勿論よ」と穏やかに微笑んだ。
