会長と別れ、家路に着く。
家に帰ればきっと鬼のようにつのを生やした祖母からのお叱りが待ってる。
だけど、会長と想いが通じ合えた事とお母さんに再会出来た事が嬉しくて不思議と憂鬱ではなかった。
車の中では康君がお母さんのことについて話してくれた。
康君は私が誘拐された日からずっとお母さんを探してくれていたらしい。
仕事をしながら一人で、しかも祖母やおじさんの目を盗んで、どこにいるかもわからない人を探すのはそう簡単なことじゃない。
それなのに康君は数年経っても諦めず、私の為に休暇を使ってまで探してくれていた。
康君の優しさに胸が熱くなる。
私はそれも知らずに、執事になってから康君が私を社長令嬢としてしか見てくれなくなったとか遠い存在になったとか子供染みたこといって…
自分の思慮の浅さが恥ずかしい。

