「でも…?」



「…ううん、何でもない。そろそろ店に戻らないと行けないの。麗奈もとりあえず今日は帰りなさい。皆心配してるはずよ」



さっき一瞬だけ辛そうな表情を浮かべていたのに、今はもういつもの穏やかなお母さんに戻っている。


そして私と会長を促すように、公園の出入口に向かって歩き始めた。





数年前より一回り小さくなったお母さんの背中をジッと見つめる。




お母さんは何を言おうとしたんだろう…


あの辛そうな顔が頭から離れない。





ねぇ、お母さん。


私じゃまだお母さんの力にはなれない?


もうお母さんが出て行ったあの頃の幼い私じゃないよ。




だけど、



「麗奈も大輝君もお腹空いてない?お弁当持って帰って」



そう振り返って笑うお母さんを見て、私はその言葉を飲み込んだ。