「本当は麗奈を連れて行きたかった。でも、私には麗奈を育てる経済力がない。だから裁判には勝てなかったのよ…」
公園の前の道を照らす街灯の明かりがお母さんに当たり、その表情はとても寂しげに見えた。
胸がギュッと掴まれたように苦しくて、鼻の奥がツンとする。
「だから私は、いつか麗奈を迎えに行くために働こうと思ったの。でも当時、長年仕事から離れていた私を雇ってくれるところなんてなかった。その時、麗奈が私の料理はどんなシェフの料理よりも美味しいって言ってくれたことを思い出したの。それで、勉強して資格を取ってこの弁当屋を開業させたのよ」
「ここに店を出したのは麗奈を見守る為ですか?」
「そう…ここなら家も学園も近い。もしかしたら麗奈が偶然来てくれるかも、なんて思ったりもした」
するとお母さんはゆっくりと私の方に振り向いた。
「っ!!」
お母さんの瞳が揺れてる…

