…ん?
数秒経っても何も起きず恐る恐る瞼を上げると、会長は肩を揺らしながら笑っていた。
「クククッ!」
「っ!酷い!!からかったわね!!」
「ははっ。ごめんって。そんな怒ん…ーーーーーバシャッ!!!
突然会長の言葉を掻き消すように、弁当屋の方から物が落ちる音がした。
私達は驚いて、バッと音の方へ振り返る。
え……
弁当屋の入り口には、弁当容器と中身が無惨に散らばっていた。
そして、その目の前でエプロンをした女性が目を大きく見開き手で口を覆って立っている。
「…麗奈……」
「お…お母…さん?」
どうして…
どうしてここに…お母さんがいるの?
私は何が起こっているのかわからず、頭が混乱して何も言葉が出てこない。
私とお母さんの時間だけが止まったかのように、二人は瞬きも忘れてただ見つめ合っていた。

