「あれ?お兄ちゃんと麗奈さん?」
自転車から降りたと同時に、私達に気付いた琴音ちゃんが店の中から出て来た。
「琴音ちゃん、こんばんは」
「うわー!綺麗なドレス!!どうしたんですか?」
琴音ちゃんは私の真紅のドレスを見て、目を輝かせている。
テンションが高くなって若干声も大きくなり、通行人がジロジロと私達に痛い視線を浴びせていた。
「琴音、店長いるか?」
「うん、いるよ?呼んで来ようか?」
琴音ちゃんはそう言って店の奥に入って行った。
あれ?
会わせたい人って琴音ちゃんじゃないんだ。
じゃあその店長さんのこと?
そういえば前に琴音ちゃんも私に紹介したいって言ってたっけ。
でも、どうしてこんな時に会長まで私を店長さんに会わせたいんだろう…
「ねえ、会長。会わせたい人って……「「大輝」」
「ふぇ?」
「会長じゃなくて大輝だろ?」
会長はそう言って腰を曲げて顔を近付けてくる。
え…ちょっ……ここで!?
「ま、待って…」
私は目をギュッと瞑り、両手で自分の顔の前に壁を作る。

