「…そんな目して誘ってんの?」
「っ!そんなんじゃ…」
会長に私の気持ちが筒抜けだと思うと、恥ずかしさで一気にカァッと顔が熱くなった。
会長はふっと柔らかい笑みを浮かべて、私の右頬を大きな手で優しく包み込み親指で唇をなぞってくる。
「本当はもっとこうしてたいんだけど、そろそろ行かなきゃいけない」
「……」
「そんな寂しそうな顔すんなよ…離したくなくなる」
そう言った会長は、ソファから降りて私の身体を起こした。
途中まで下げたファスナーを上げ、ソファの背凭れに掛けてあった自分の上着を私の肩に掛けてくれる。
そして、わざとリップ音を鳴らして触れるだけのキスをした。
「今日はこれで我慢する」
「…うん」
「…次二人っきりの時にそんな顔したら、嫌がっても止めてやらないから。覚悟しとけよ?」
会長はそう言って、意地悪そうに笑った。
どうしよう…
幸せ過ぎて変になっちゃったかも…
今、止めてほしくないって…思った。

