君のいる世界





谷本麗奈の目には涙が溢れている。




「…俺……」



頭の中が真っ白になった。


俺の下にはブラウスがはだけ白い滑らかな肌が露わになり、そして小刻みに震えている谷本麗奈がいる。




俺は何て事を…


怖がらせるつもりじゃなかったのに…




谷本麗奈のブラウスのボタンを数個掛け華奢な身体を起こし、壊れ物を扱うようにそっと抱き締める。





「…どう…して…?」



ややあって、少し震えが収まった谷本麗奈は声を詰まらせながら言った。


俺は何も答えられなかった。




嫉妬したんだ、あの男に。


渡したくなかった。


こいつの笑顔も心も、全て俺の物にしたかった。




でも、そんなこと俺に言う権利があるのか?


俺は…こいつを傷付けてばかりで…


あんな風に酷く突き放したのに。





すると谷本麗奈は俺の胸をグッと押して離れた。




「もう…わかんないよ……」



そう言って生徒会室を飛び出していった。