俺が声を掛けると、谷本麗奈は勢いよく振り返り驚いた表情を見せてすぐに視線を逸らした。
その態度に俺は片方の眉を上げる。
少しの沈黙の後、急に立ち上がって自分の鞄を持った谷本麗奈が近付いて来る。
「か、帰るから…そこ退いて」
谷本麗奈は決して俺を見ようともしない。
…気に食わねぇ。
あの男には笑いかけるくせに、俺には目も合わせないなんて…
「…嫌だね」
俺は谷本麗奈の手首を強引に引っ張り、ソファに押し倒した。
横たわった身体の上に跨るようにして両手を固定する。
絶対に逃がさない…!!
「会長…」
「お前は…あいつが好きなのか…?」
「え…?」
谷本麗奈は驚いて目を大きく見開く。
何も答えないこいつに、俺は痺れを切らして覆い被さった。
強引に唇を奪い、何度も角度を変える。
言えよ…この口で…
俺が好きだって…
「…っあ…はあ…」
谷本麗奈が顔を横にして空気を吸うも、俺はその隙を見逃さない。
薄く開いた唇から舌を滑り込ませ、逃げる舌を何度も絡め取る。

