君のいる世界





不思議と怖くなかった。


一緒に海に行った日、塀から飛び降りた時も会長はしっかりと私を受け止めてくれた。


だから大丈夫。


今回も絶対に受け止めてくれる。




真紅のドレスが風に靡く。


まるでスローモーションのように私の身体はゆっくりと会長の腕の中に吸い込まれていった。






ドサッ!!


会長は尻餅をつきながらも私の身体をしっかりと受け止めてくれた。





「「「きゃーーー!!!」」」



その瞬間、集まった人達から大歓声が沸き起こる。


私は会長の首に腕を回し、ギュッと抱き付いた。


会長もそれに応えるように私の腰に腕を回す。





「上出来」



いつか同じシチュエーションで聞いたことのある言葉を、会長は私の耳元で囁くように言った。


そしてすぐに身体を離すと、私の腕を引っ張って立たせてくれる。