君のいる世界





「好きだー!!俺は…俺は、お前が好きだー!!」



会長は私に向かって力一杯に叫ぶ。


いつになく一生懸命で熱い会長から目が離せない。


震える唇を抑えるように、左手で口を覆った。




騒ぎに気付いたパーティーの出席者や一階の広間を使っていた他のお客さんが庭やバルコニーに集まってきて、私達に好奇の眼差しを向ける。


だけど会長はそんなこと少しも気にした様子はない。




「俺はまだ子供で頼りないし貧乏だけど、絶対に幸せにするから…」



会長はそこで言葉を止め、私に向かって両手を広げる。



「来い!!!」



「…っ!」



私の目から大粒の涙が流れた。


私は柵をギュッと強く握り締める。




「麗奈ちゃん…」



私の隣りにいた直幸さんが弱々しい声で私を呼ぶ。




このままじゃ駄目だ。


ちゃんと直幸さんに、自分の気持ちを伝えなくちゃ…